スターマー前英首相が下院議員辞任を発表、国際問題などに専念と

黒と白のスーツを着たスターマー氏

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ユアン・サマーヴィル政治記者

イギリスの前首相サー・キア・スターマーは1日、国際問題や女性・少女への暴力問題への取り組みに専念するため、下院議員を辞任すると発表した。

これにより、スターマー氏が2015年から議席を持つロンドンのホルボーン・アンド・セント・パンクラス選挙区で補欠選挙が行われる。同選挙区は長年、与党・労働党にとって安定の地盤となっている。

今年7月に首相を辞任したスターマー氏はかつて、2029年に予定される次の総選挙まで下院議員に留まると述べていた。

スターマー氏の突然の発表は、英下院で新会期が始まる2日の直前に行われた。現職のアンディ・バーナム首相はこの日、下院議員として初登院する。

バーナム氏はスターマー氏をたたえ、ウクライナとの取り組みや、公務員の責任追及を強化する「ヒルズバラ法」の策定に言及。「(スターマー氏は)生涯にわたり、特に正義を求めて闘う人々のために、この国に尽くしてきた」と付け加えた。

「彼のリーダーシップは、我が党を史上最悪の敗北から最高の勝利へと導き、この国をより良い方向へ変えるための基盤を築き上げた。私たちはそれを最大限に活用するとともに、彼の家族の今後の幸せを心から願っている」

ヒルズバラ法は、1989年のヒルズバラ・スタジアム圧死事故を受けて策定された。この事故では、サッカー・リヴァプールFCのサポーター97人が死亡した。

スターマー氏は辞任を発表するにあたり、地元紙カムデン・ニュー・ジャーナルに対し、ホルボーン・アンド・セント・パンクラス選挙区を11年間代表できたことは「大変光栄なことだった」と述べた。前首相が議員を続けるのかどうかは、7月から取りざたされてきたが、遂に結論が出た。

スターマー氏は「後継者にバトンを渡す準備ができている」とし、今が議会を去るのに「適切な時期」だと述べた。

「今後は他のことに注力していく。急速に変化する世界における防衛、安全保障、貿易、技術といった国際問題だ」と述べた。

「また、これまで長年にわたり他の人々と一緒にそうしてきたように、女性や少女に対する暴力との闘いにも引き続き取り組んでいく。これは私にとって非常に重要な問題だ」

「下院議員になる前から取り組んできたことで、議員を退いた後もぜひ続けたいと考えている。つまり、一方で国際問題に取り組み、もう一方で女性や少女に対する暴力について活動を続けていく」

スターマー氏は2024年、労働党の党首として総選挙で地滑り的な勝利を収め、イギリス首相に就任した。しかし、今年5月初めの英地方選で労働党が大敗したのを機に、党内で辞任圧力が高まり、6月に労働党首を辞任バーナム氏の党首選勝利を受けて、7月に首相官邸を去った

「またもや方針転換」と保守党幹事長

最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、スターマー氏の今後の活躍を祈ると述べる一方で、「彼は多くの労働党議員が議席を得られるよう尽力したのに、その議員たちからひどい扱いを受けた。その労働党議員たちと時間を過ごしたくないと思うのは、理解できる」と評した。

保守党のケヴィン・ホリンレイク幹事長は、スターマー氏が「留任を約束したにもかかわらず、またもや方針転換した」と非難。その結果、「納税者にとって費用のかかる補欠選挙」が行われることになったと述べた。

スターマー氏が正式に下院議員を辞めるまでは、補欠選挙の日程は決定されない。 同氏が下院議員としての資格を失う政府手続きが完了するまでは、確定しないとみられる。

労働党のウェブサイトによると、同党は9月9日までに補選の候補者を選出する予定だ。

労働党は長年、ホルボーン・アンド・セント・パンクラス選挙区の議席を安定して確保してきた。2024年の前回総選挙では、スターマー氏は1万1000票以上の大差で勝利した。

補選での主な対抗馬は、野党・緑の党となる可能性が高い。緑の党は今年5月同選挙区を構成する各区議会選挙で、労働党の39.5%に次ぐ29.8%の得票率で2位となった。

得票数では、野党・リフォームUKは大きく差を付けられて3位に終わった。候補者を擁立しなかった2選挙区の票を含めると、緑の党の得票率はさらに高かった。

各党の補選の候補者は今後決まる予定だが、緑の党は、ザック・ポランスキー党首が出馬を検討していることを示唆した。

同党の報道官は、現在ロンドン議会議員のポランスキー氏が、「ロンドン選出の下院議員になりたいという意向を常に明確にしてきた」と述べた。

過去の首相

スターマー氏が具体的にどのような国際関係の役割を担うかは不明だが、同氏は首相在任中も、国際問題と外交が活動の中心だった。

一方、7月の退任インタビューで、今後も政治あるいは国際的な大きな仕事に携わる可能性はあるかと問われた際には、「正直なところ分からない」と答えていた。

これまでの歴代首相は、辞任後も議員にとどまることが多く、スターマー氏の決断は、その慣例から逸脱するものだ。

保守党のリシ・スーナク氏は、首相官邸を去ってから2年たった現在も、リッチモンド・アンド・ノースアラートン選挙区選出の議員を務めている。その前任者のリズ・トラス氏も、2024年の総選挙で労働党に議席を奪われるまで一般議員だった。

一方、ボリス・ジョンソン氏とデイヴィッド・キャメロン氏は、首相退任後まもなく下院議員を辞任した。