ネパールと中国の国境検問所、土石流に飲まれる直前はどんな様子だったのか

大きな建物に黒々とした泥流が後方から迫っている。建物の前方では人々が逃げ惑っている

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画像説明, ネパールとの国境にある中国の検問所が濁流に飲み込まれ、付近で人々が逃げ惑う様子が、監視カメラによって記録されていた(8月26日、チベット・ギロン県)
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ネパールと中国・チベットの国境地域における大規模な土石流の発生では、中国側の国境検問所が濁流に飲み込まれる映像が、被害の甚大さをまざまざと示した。当時、検問所や付近はどんな状況だったのか。残存する記録や関係者らの話をもとに探った。

国境検問所は、中国側はチベットのギロン県、ネパール側はラスワガディにそれぞれあり、川に架かる橋で結ばれていた。ともに、今回の土石流で壊滅的な被害を受けた。

ネパールの出入国管理局は、災害が発生した8月26日朝の数時間に自国の検問所を通過した人々の特定に努めている。

ネパール側の出入国管理の電子記録によると、この朝、ネパール人と外国人の計89人が、ネパールからチベットに入るための手続きを終えていた。一方で、チベット側から来た4人が、ネパール入国の登録を済ませていた。

ネパールを出国する外国人は、インド人32人、中国人12人、アメリカ人9人などだった。イギリス、カナダ、オーストラリア、イタリアの国民もいたとされる。

ただ、電子記録に残っているのは、この朝、検問所にいた人々のごく一部でしかないと、ネパールの国境検問所のティカ・ラム・ポカレル上級出入国管理補佐官は話す。ポカレルさんは当日、試験を受けるために首都カトマンズにいて、難を逃れた。

ネパール語、英語、中国語で国境検問所であることを示す看板の前に、青みがかった色眼鏡をかけた、ひげを生やした人が立ち、カメラを見ている。紺色の服を着て、首からIDカードのようなものをぶら下げている
画像説明, ネパールの国境検問所のポカレル上級出入国管理補佐官。災害発生時に首都カトマンズにいたため、同検問所職員の中で唯一の生存者となった

ポカレルさんによると、ネパール側の国境検問所では、出入国管理業務が午前8時に始まる。中国に向かう旅行者らは、出国の手続きを終えると、国境の橋へと進むか、手前で待機する。

ポカレルさんは、土石流が発生した当日の午前8時20分に、同僚と電話で話したという。同僚は、検問所が普段より混雑していると言い、ネパールからチベットへ向かう300~400人ほどが待機状態で、中国側から到着した人々も同じエリアにいると話したという。

「その朝(ネパール側で)出国手続きを完了しても、中国側での入国手続きは完了できなかったのではないか」とポカレルさんはBBCに話した。

ポカレルさんによると、検問所に午後の遅い時間に到着する旅行者は、翌朝の手続き再開まで待たされることもあった。団体旅行やバス旅行の参加者は、多くの場合、全員の出入国手続きが終わるまで待機しなければならなかったという。

そのため、この朝、ネパール側で出国手続きを終えた89人が、土石流の到達時にどこにいたのかを知るのは困難だ。

川、流域の建物、駐車場、車両などが写っている。国境検問所の大きな建物からは、川をまたぐ橋が伸びている

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画像説明, 土石流によって国境検問所などが破壊される前の、ネパール・中国の国境地域の衛星画像

ネパールの出入国管理システムでは、最後の手続きが午前8時35分03秒(チベット時間午前10時50分ごろ)に記録されている。

その約7分後、大量の泥水が猛烈な勢いで検問所に押し寄せた。

衝撃的な場面を、中国側に設置されていた監視カメラが撮影していた。その映像がのちに、ソーシャルメディアなどで世界中に広まることになった。

動画説明, ネパール・中国国境付近の土石流、発生時の映像 建物や橋が流失(無音映像、衝撃的な内容が含まれます)

国境検問所の職員も被害者となった。

ネパール側では所長ら4人が行方不明になった。所長はその後、はるか下流で遺体で発見された。最後の手続きを担当したとされる女性職員は依然、行方が分かっていない。

当日朝の国境検問所付近には、インド人の巡礼者らも多数いたとみられている。中国側の入管業務の開始を待つ間、ビデオ通話をしたり、動画を送ったりして、故郷の親族にヒマラヤの山並を見せるなど、のんびりした朝を過ごしていたとされる。

そうしたなかに、60人以上の団体で移動していた、スブラスリー・チャクラボルティさんもいた。夫のスディプト・バッタチャリヤさんによると、ネパール時間の午前7時57分に、妻からメッセージが届いた。パスポートに押されたネパールの出国スタンプの写真が送られてきたという。

その6分後の午前8時3分、妻から「中国に入るのを待っている」とのメッセージを受け取った。以降、通信は途絶えているという。

動画説明, 【分析】 ネパール・中国国境の土石流、経路と被害をたどる

一方、災害発生時に中国側の国境検問所にいた人の中には、インドのイシャ財団と関係のある巡礼者77人のグループも含まれているとされる。チベットのカイラス山から戻る途中で、土石流の発生後、スタッフ3人とともに全員が行方不明となっているという。

中国側の国境検問所があった場所には、発災2日後の8月28日、中国の救助隊21人が入った。そのうちの1人は、「見渡す限り、廃墟しかなかった」と中国国営メディアに話した。

この災害では、3日朝までに、ネパール側で少なくとも1200人の死亡が確認され、4200人以上が行方不明となっている。中国側では、死者は21人、行方不明者は540人以上に上っていると、国営メディアが報じている。

両側で捜索・救助活動が続いている。道路が断絶されているなど困難な状況のなか、生存者の支援も進められている。

オレンジ色の服、ヘルメットを着け、茶色い犬を連れた人たちが岩や砂、がれきが広がる場所に立っている

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画像説明, チベット・ギロン県で捜索・救助活動に当たる中国の救助隊